[316] 老舗メーカー、ネットショップがOEMと並ぶ2本柱

現役店長に訊く、人気インターネットショップの秘訣
(2009/03/04)
第316回 老舗メーカー、ネットショップがOEMと並ぶ2本柱
2,768 部
ペン工房キリタ 様
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□□  ご挨拶

こんにちは!
いつもお読みいただき、誠にありがとうございます。
初めてのみなさま、数あるメールマガジンの中から選んでくださり、
ありがとうございます。

今回のゲストは、ペン工房キリタ 様です。
それでは、一緒に教わりましょう。

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■■  基礎データ

【店名】 ペン工房キリタ
【会社名】 桐平工業株式会社
【住所】 東京都江戸川区西小岩2-13-7
【URL】 http://www.kirita-pen.jp/

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■■  特徴、優位性

┌―――――――――――――――――――――――――――――――
|貴社は、創業60年以上の老舗メーカーとのことですね?
└―――――――――――――――――――――――――――――――

母体となっている桐平工業(株)は、戦後間もない昭和22年の創業
です。
創業時は金属部品のみを作っていましたが、程なくシャープペン、
ボールペンを完成まで作るようになり、その後は一貫して筆記具の
OEM生産を行ってきました。

金属(主に真鍮)をボディに使った高級品を得意とし、バブル期には
ブランド品の筆記具製造でかなり儲かったようです。
(私は学生だったので、美味しい思いはしていませんが。)(笑)

バブルの崩壊と共にブランドのライセンス商品が減り、その分野に
頼っていた弊社も、いよいよ会社を畳もうか、と言うところまで
追いつめられました。

当時は、「今、会社を畳めば大きな借金を残さずに精算出来る」と
いう意見も家族にはありました。

が、新規事業にチャレンジすることもなく、ただ止めてしまうのでは、
従業員や、なにより自分自身に納得がいかなかったんです。


┌―――――――――――――――――――――――――――――――
|そこで、ネットショップを立ち上げた?
└―――――――――――――――――――――――――――――――

自社の得意な中・高級品を開発しても、日本の大手メーカーは安い
事務用筆記具に注力している時期で、採用してくれない。
何とか自社製品を自社ブランドで売れないかと思い、藁をも掴む
気持ちでネットショップを作ってみる事にしました。

それが5年前です。

倒産寸前の会社ですから、サイト作りをアウトソーシングする予算
もありません。開業までの諸業務の全てを自分でやりました。

オリジナル製品を開発・製造する傍ら、ネットショップの仕組みの
勉強、ドリームウィーバーの勉強など全て独学です。

マーケティングについては、自腹を切って勉強会に入りましたが、
ここでの出会った仲間との交流が常に自分を励ましてくれました。

ショップの準備は従来業務をやりながらなので、まるで週末起業の
ように夜と土日でやっていました。よく夜中に倒れて会社の床で
寝てましたね。

結局、開業したのは約4年前の2005年の12月です。
ショップの準備以上に、製品開発と生産に時間がかかりました。

 

┌―――――――――――――――――――――――――――――――
|では、貴社におけるネットショップの位置付け・役割は?
└―――――――――――――――――――――――――――――――

開業当時のショップの位置づけは、落ち込む本業(OEM)をカバー
するものでした。

しかしその後、順調に本業の落ち込みが進み(笑)、ショップの
売り上げが上がって行き、現在は本業と同等レベルにまで成長して
きています。


┌―――――――――――――――――――――――――――――――
|「こだわり」 http://www.kirita-pen.jp/linnku/kodawari.htm
|が、目を引きますね。
└―――――――――――――――――――――――――――――――

弊社サイトの「こだわり」ページには、「重量感へのこだわり」と
「真鍮へのこだわり」が書いてありますが、実はこの2つは1つの
ものでもあります。真鍮を使えば自然と重くなりますから。

大手メーカーは、軽い製品を喜ぶ傾向があります。
それは、筆記具の最高峰である万年筆で、ペン先を潰さないよう
浮かせて書く分、軽いボディが好まれるからです。

大手の高級品では万年筆と同デザインでボールペンも作るため、
どうしてもボールペンも軽くなります。

でも、押しつけてボールを転がすボールペンでは、軽いペンを使うと
どうしても手に力が入ってしまいます。
(事務用ゲルボールペンを除く。)

重いペンを使って、ペンの自重でボールを転がす感覚で書けば、
力を入れずに自然に書ける、と言うのが私の持論です。

真鍮は加工のしやすい金属で、その重さがちょうど良いのです。


┌―――――――――――――――――――――――――――――――
|「5大サービス」 http://www.kirita-pen.jp/linnku/service.htm
|も、凄いですね。
└―――――――――――――――――――――――――――――――

下請けとして製品を納める場合、納入価は定価の実に数分の1程度
です。
メーカーによっては、5千円の定価の製品を千円以下で入れろなんて
言ってきます。

もうチョット予算があればワンランク上のメッキが付けられるのに
とか、もう1部品追加出来るのに。いつもそんなことを考えていま
した。

自社製品をそのままネットで売ると、流通経路をカット出来る分、
よりこだわった製品、きめ細かいサービスができます。

5大サービスは、いずれも手間(コスト)のかかるサービスで、
メーカーとしてはできればやりたくないような内容です。

流通をカットした予算で、お客様が真に望んでいるサービスを提供
することによって、無名ブランドである弊社の製品を、安心して
購入いただきたく思っています。

 

┌―――――――――――――――――――――――――――――――
|「自分用をお探しの方」
| http://www.kirita-pen.jp/dousenn/jibunnyou.htm
|「ギフト用をお探しの方」
| http://www.kirita-pen.jp/dousenn/gifutoyou.htm
|に当てはまる方が、貴店のお客様ということですね?
└―――――――――――――――――――――――――――――――

弊社で購入されるお客様は、大きく分けて自分のために自分で買う人
が4割で、ギフト用に購入される方が6割です。

ギフト用の方が多いですが、ページ作りはあくまで自分が欲しいペン
を探している人向きに作ってあります。

誰でも、大切な人には、自分でも欲しいと思えるものをあげたいで
しょう。
実際、ギフト用に買うついでに自分用の1本を一緒に注文する方が
たくさんいます。

(購入者ではなく)使用者は、男女比率では男性が7割を超える位
だと思います。女性が購入者でも、男性へのプレゼントが多いですね。

舶来の高級筆記具では高すぎるけど、中国製の安物はあげたくない。
そんな方々に選ばれているようです。


┌―――――――――――――――――――――――――――――――
|工場まで買いに来られる方も、いらっしゃるとか?
└―――――――――――――――――――――――――――――――

キリタブランドのオリジナル品は、既存の流通にはのせず、ネット
のみの販売ですが、やはり実物を見てから購入したいというお客様
もいます。

月に3~4人位の方が工場に来て、現物を見て買っていきます。

あくまで工場なので、お客様を通す場所も狭い事務所があるだけです
が、現場感が伝わりかえって信頼感があるようです。

 

┌―――――――――――――――――――――――――――――――
|貴店が、お客様に提供している一番の価値は?
└―――――――――――――――――――――――――――――――

ネットショップに限らず、どんなお店でも売っている商品の本質は、
1)実用、2)安心、3)満足感・嬉しい気持ち、のいずれかなのでは
ないでしょうか。

実用という点では、100円のボールペンでも用は足ります。

にもかかわらず多くのお客様がキリタのペンを購入いただくのは、
「高質感のペンを買って嬉しい」、
「素敵なペンを大切な人に送ることができて嬉しい」、
そういう気持ちをご購入いただいているのだと思っています。

そして満足感というものは、決して製品の善し悪しだけで得られる
ものではないと思っています。

製品に対する説明を十分にするだけではなく、製品に込めた
「思い」や「こだわり」をサイト上で伝えることにより、
我々の気持ちも一緒に購入してもらう。

さらに、購入後にまで及ぶメールのやりとりや、単にパッキンに
入れて送るだけではない梱包発送の丁寧さなどまでを含めて、
満足感という価値を提供していきたいと思っています。


┌―――――――――――――――――――――――――――――――
|最近の売れ筋商品、おすすめ商品、目玉商品は?
└―――――――――――――――――――――――――――――――

フロントエンドの製品として、「ケーファーボールペン」がやはり
一番多く出ています。

この製品は、独自ロゴを入れたカスタマイズができるのが特徴で、
記念品などでも良く出ていますが、使い勝手に関しても最も好評を
いただいています。

□□□
□□  編集「中」記

ペン工房キリタ 様、ありがとうございました。


> 自社製品をそのままネットで売ると、流通経路をカット出来る分、
> よりこだわった製品、きめ細かいサービスができます。
> 5大サービスは、いずれも手間(コスト)のかかるサービスで、
> メーカーとしてはできればやりたくないような内容です。
> 流通をカットした予算で、お客様が真に望んでいるサービスを提供
> することによって、無名ブランドである弊社の製品を、安心して
> 購入いただきたく思っています。

この魅力がお客様にしっかり伝わることで、支持を得られているの
でしょう。
製品の品質や購入前後のフォローはもちろんですが、購入前にそれを
伝えるために、どういったことをしているのか?

この続きは、次回(3/11頃発行)とさせていただきます。
お楽しみに!


それから、ペン工房キリタ 様のご厚意により、
「読者限定サービス」をことづかっていますので、お知らせします。

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ネット注文時、『インタビューを読んだ』と書き加えていただいた
お客様は、名入れ代等を除いたペン本体の10%割引サービスをさせて
いただきます。(ただし2009/3/31まで)
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みなさま、この機会に、ぜひご利用くださいませ。

(後略)

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