現役店長に訊く、人気インターネットショップの秘訣
(2006/10/18)
第242回 1ヶ月5千キロ走行の行商から生まれた「オーダーメイド枕」
3,743 部
快眠のくに 天童プップ 様
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□□ ご挨拶
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みなさま、こんにちは。
ご購読いただきまして誠にありがとうございます。
初めてのみなさま、数あるメールマガジンの中から選んでくださり、
ありがとうございます。
今回のゲストは、
快眠のくに 天童プップ 様です。
それでは、一緒に教わりましょう。
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■■ 基礎データ
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【店名】 快眠のくに 天童プップ
【会社名】 有限会社 天童プップ
【住所】 山形県天童市清池18
【URL】 http://www.puppu.co.jp/
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■■ 特徴、優位性
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|貴店は、「抱き枕」の製造販売がスタートとか?
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私は、平成4年に大手鉄鋼メーカーを選択定年で退職して、父方の郷里
である山形県天童市へ転居しました。
退職後の生活手段についてはなんの準備もあてもなく、ただ失業保険で
暮らす毎日でしたが、ある日の明け方に突然目が覚めて「枕屋をやろう」
と思いつきました。
それまで、思ったことも見たこともない商売でした。
そして、その日の朝日が昇るころには、億万長者へのシナリオがかなり
細部まで頭の中で完成していました。
作って売って大儲けしようと思った商品は「抱き枕」です。
ただし、枕についての知識はまったくありませんでした。
全国各地の売り場を調べて、「抱き枕」がどこにもないことを確認、
特許検索でも類似商品はひとつもありません。すぐに意匠登録を申請し
て取得しました。
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|当初は、その「抱き枕」をワンボックスカーに詰め込んで、旅館や
|老人ホームへ売り歩いたそうですね。
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中古の開綿機を買い、自宅敷地内で夫婦で試行錯誤しながら抱き枕を
つくり始めましたが、天童プップの立地は純農村地帯のため、
半径1km以内に店舗は1軒もなく人通りもありません。
したがって販売はワンボックスカーに抱き枕を満載しての行商になりま
す。
個人宅、旅館、介護施設、病院などへの訪問販売、市町村役場の職域
販売など、東北一円から長野県まで足を伸ばして売り歩きました。
犬にも散々吠えられました。
寅さんではありませんが、旅から旅への毎日で、一ヶ月の走行距離が
5千キロになりました。
ここまではシナリオどおりでした。
しかし現実は、大儲けの思惑とは大違いで、まったく売れません。
日本で初めてのこんなに良い快適商品がなぜか売れない。
収入はほとんどありません。
なけなしの退職金もなくなり、ちょっとヤベーかなーと思い始めて
いたころ、転機が訪れました。
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|その転機とは?
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「抱き枕」の行商での会話の中で、かなり多くの人から、枕が合わなく
て困っているという話が出るのです。
普通の枕にはまったく関心が無かったので気がつきませんでしたが、
そう言われて改めていろいろなお店を観察してみると、一人ひとりが
違うニーズをもっているのに、その要求にきちんとこたえる枕が全く
無いことがわかってきました。
みな画一的で、男女差も体格差もなく、いわば布団のおまけ的な存在の
マイナーな商品群がただ並んでいます。多くの人が合わない枕で我慢
して寝ているわけです。
これはどう考えてもビジネスチャンスでした。
平成8年ごろから、それまでの「抱き枕」から
「一人ひとりに合わせる枕」に商売の軸足を移してゆきました。
行商はやめて、5坪の店に枕の材料と計量はかりを準備して、ご来店の
お客様に合わせて枕を調製する商いを始めました。
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|ネットショプの開店はいつ? 目的は? きっかけは?
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実店舗も軌道に乗り、お客様の体型データもかなり蓄積してきて自信も
出てきた平成10年ごろ、そろそろインターネットにかかろうと思って
準備していたときに、近所でウエブ制作会社を立ち上げた青年が訪問し
てきました。
その場で即決して、「オーダーメイド枕」のサイト構築とメンテを一切
委託しました。
平成10年に「快眠のくに」天童プップというサイトをアップしました
が、それ以来、同社はあたかも天童プップの一部門のごとく、サイトの
リニューアルやネット販売促進の企画立案など業務分担のパートナー
関係にあります。
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|貴店の「オーダーメイド枕」の、特徴は?
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枕は個人によって全部高さが違いますが、市販の枕は、男女差や年齢差
が無く、買った枕に身体のほうを合わせて、結果的に肩こりとか浅眠
などを招いています。
天童プップの枕は、お一人お一人に最適の枕を手作りで仕上げて販売
しています。
遠方のためご来店いただけないお客様でも、実店舗における約10年の
経験と実績から、身長、体重などのデータを送っていただければ、
その方に合った枕をつくることができます。
お送りしたあと、万一合わない場合、ご使用いただいている間は、
ご満足がいくまで調整のフォローをさせていただきます。安心枕です。
普通、自分に合った枕の高さはご本人にはなかなか分からないものです。
天童プップでは、お客様のご希望というよりは、
「その方にとっての正しい枕」を考えておつくりしています。
ですので、最初、びっくりされるお客様が多いです。
枕とともに、正しい枕の使い方などもお知らせしています。
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|貴店が、お客様に提供している一番の価値は?
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肩こりが解消した、よく眠れたなどという、お客様の喜ばれる具体的な
結果が一番の提供価値だと思います。
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|貴店のお客様は、主にどういった方々? 主な購入の目的は?
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ほとんど満遍なく、男女差もなくお買い上げいただいています。
購入の目的、動機の主なもの、
・肩こりがひどい、首が痛い、背中が痛い、腰が痛い、
・眠りが浅い、熟睡感がない、眠れない、寝つきが悪い、寝起きが悪い
・いびきがひどい
・頭痛がある
・枕が合わない、寝心地が悪い
・ちょうど買い替えの時期がきた
以上の諸状況の解消と、さわやかな目覚めの獲得。
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|最近の売れ筋商品、おすすめ商品、目玉商品は?
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もちろん、「オーダーメイド枕」です。
2番目が「私のコットン旅枕」です。
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■■ プロモーション1
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|主な、広告宣伝方法は? 販売促進方法は? 効果的なのは何?
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現在、広告宣伝はホームページだけです。それと、実店舗の手作りの
看板です。
有料広告、出店はしておりません。
これは、費用対効果の面で懐疑的であること(つまりケチ)からです。
SEO対策はウエブ制作会社の努力により、相当の効果があがっていま
す。
「金をかけずにまだまだやるべきことがある」とのことです。
実店舗も含めてのことですが、天童プップに関する情報が別々の方向
から来て、その情報が個人の上で二つ以上クロスすると、ご来店に結び
つくようです。
たとえば、複数のクチコミ、クチコミと看板、記事とHP、新聞とTV
など。
このことはよく言われていますが、実感としてあります。
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|メルマガは発行している?
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平成12年~13年ごろ、「天童プップおやすみ倶楽部」という月1回
のメルマガを発行していました。
枕の使い方や安眠のコツのほか、店主の身辺雑記などです。
だんだん間があいて自然消滅しました。
モチベーションにいまいちドライブがかからなかった感じです。
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|地元のテレビや雑誌で紹介されることも多いそうですが、その
|経緯は? 秘訣のようなものはある?
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平成8~9年ごろから、「自分に合わせてつくってくれる枕屋がある」
といううわさが少し拡がっていたと思います。
地元のラジオ、TV、新聞とかタウン誌、公共広報誌などの取材が増え、
連鎖的にだんだん多くなってきました。
メディアが、健康とか睡眠など、関心の集まりやすい普遍的なテーマを
取り上げるうえで、天童プップに適当な話題性があるからだと思います。
多少、パフォーマンス的にユニークさを強調した面もありますが。
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□□ 編集「中」記
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快眠のくに 天童プップ 様、ありがとうございました。
> 「抱き枕」の行商での会話の中で、かなり多くの人から、枕が合わなく
> て困っているという話が出るのです。
> これはどう考えてもビジネスチャンスでした。
お客様との会話の中からニーズを見つけ、それをビジネスに活かす。
言葉にすれば簡単ですが、それを実現するまでにどれほどの苦難があっ
たことか・・・。
それを乗り越えて来られた自信が、その後のスムーズなネットショップ
開店に結びついたのですね。
この続きは次回(10/25頃発行)とさせていただきます。
お楽しみに!
(後略)